映画
夏の終わりから取りかかっていた仕事の納品を終え、ほっとひと息ついているところへ入った、仲代達矢の訃報。来月13日で93歳になるところだった。 そのキャリアは70年以上、映画・演劇・テレビドラマにおいて、これだけ充実した作品歴を誇る役者はもう出ない…
NHKの連続テレビ小説『あんぱん』が終わりましたね。 “何者”にもなれなかった妻が、夫と共に『アンパンマン』という子供(メガヒット作品)を育てました、という話にまとめたかったようだが、「やなせたかしの伝記」としても「芸術家の妻の物語」としても食…
テレビ番組を作っている時に悩ませられるものに、「再現映像」がある。 出来事や情報を伝える上で、その情景をイメージしやすくするために撮る、雑誌における挿絵のような役割なのだが、挿絵にもいろんなタッチがあるように、再現映像にもやはりさまざまなタ…
いや、暑い日が続きますな。 ところでみなさん、参院選行きました? 自公の議席が過半数を下回り、国民民主党と参政党が大躍進という、意外性も何もない結果ではありましたが、この間、周囲の若い人たちとやりとりしてみると、どうも彼らは玉木雄一郎にしろ…
抱えている仕事が大詰めで、連日作業場にこもりきりの囚人状態が続いている。 が、6月26日の夜はどうにか一時出所の機会を捻出、すべり込んだ先は、ヒューマントラストシネマ有楽町。チャールズ・チャップリン監督『黄金狂時代』(1925)のサイレント・4K修…
『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』のIMAX上映に行ってきた。 上映回数をかなり絞ったイベント上映ではあるが、ガラガラだったらどうしようかと思ったものの、さすがは新宿、9割近い席が埋まってかなりにぎやか。半数以上はオールドファンだが、若者や…
「こんちは〜、4年ぶりに今年の映画ベストテンを伺いに参りました」 「何も下半期にぜんぜん映画を観られなかった年に復活することないじゃないの。『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』も『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』も『憐みの三章』もまだ観られてま…
安部公房生誕百年を記念して、先日は「現代思想」が『総特集=安部公房』を出版したし、神奈川近代文学館で特別展「安部公房-21世紀文学の基軸」が本日からスタート。生誕百年のお祭りもいよいよクライマックスを迎えつつある。 そんな記念の年に刊行された…
ようやく新しい仕事が始まり、その準備に追われています。と言っても、まだ資料を読んで構成台本を書く作業の段階。 書き直しを続けたプロットにどうにかOKが出たので、来週から具体的な取材やロケハンを始められそうです。年末までかかりきりになるでしょう…
先日、都内某所に安部公房ファンが5人集まり、映画『箱男』の感想を語り合いました。 【原作と映画の間で】 A 27年前に製作中止になったと聞いた時はとても残念だったので、今回ようやく完成した映画を観られて感無量でした。当時の脚本はかなり原作をアレ…
シネマヴェーラ渋谷で「生誕百年記念・シネアスト安部公房」が開幕した。 なんといっても目玉となるのは安部公房が自ら監督した16ミリ短編『時の崖』(1971)と、ビデオ版『仔象は死んだ』(1980)の上映だろう。さっそく観てきましたよ。 今回初めてスクリ…
2週間ほど前に仕事が一段落したので、新作映画を見て回る日々が続いている。真っ先に観た一本が、黒沢清『蛇の道』のリメイク版。初見時の時のことをちょっと思い出したのでメモしておきたい。 正直、このリメイクは不安だった。なにしろ私にとって『蛇の道…
ラピュタ阿佐ヶ谷で特集「起きて転んでまた起きて 前田陽一の反マジメ精神喜劇ぱらだいす」が開催中だ。まだまだ数多い未見作をこの機会にできるだけ潰そうと、仕事の合間にぼちぼち通っている。 じつは私、19歳の時に前田監督に会っている。通っていた専門…
小林信彦『決定版・世界の喜劇人』が出版された。 もともと香港映画のホイ兄弟から入ったコメディ好きではあったけど、いわゆるクラシック喜劇に目覚めたのは、中学生の時に実家の書庫で発見した『世界の映画作家26 バスター・キートンと喜劇の黄金時代』が…
2024年は映画監督・岡本喜八(1924〜2005)の生誕100周年。 ということで、年始に出版された前田啓介『おかしゅうて、やがて悲しき 映画監督・岡本喜八と戦中派の肖像』を読んだ。著者は1981年生まれの読売新聞記者だが、映画記者ではなく、文化部で近代史を…
エヴァ・ヴィティヤ監督『パトリシア・ハイスミスに恋して』を観た。 25年以上も前に亡くなった作家の評伝が、ドキュメンタリーとして成立するのかと思いきや、意外に映像資料が豊富に残されていたことに驚いた。そして未発表(近年、書籍化された)の日記の…
先週、『ふぞろいの林檎たちⅤ 男たちの旅路<オートバイ>~山田太一未発表シナリオ集』(国書刊行会)を読んでいる最中に、著者である山田太一の訃報が届いた。享年89。 なぜこの脚本集を読んでいたかというと、12月2日に西荻窪の今野書店にて開催された、…
司会者 「えー、このつどいも前回から4年ぶり4度目となりました。山崎貴監督『ゴジラ-1.0』が公開されましたが、みなさん正直なところ、いかがでしたか? ネタバレ全開で参りましょう」 ゴジラファンA 「いやぁ、『シン・ゴジラ』が画期的なゴジラ映画だった…
×月×日 日比谷野外音楽堂にて、原始神母のライブを聴く。 今回は前半が「ピンク・フロイド/ライブ・アット・ポンペイ」の再現、後半は今年50周年を迎える「狂気」の全曲演奏。夏の黄昏時から夕闇に変わる頃合いに響くピンク・フロイド音楽は最高のかけ合わせ…
評判のトッド・フィールド監督『TAR/ター』を観てきました。 「多重の仕掛けが施されたサイコ・スリラー」とか「ジェンダー問題やキャンセル・カルチャーを諷刺する社会派ドラマ」などと語られることが多いようだけど、実際のところは、ある個性的な芸術家の…
土塁跡に建つ「上ノ郷城跡」の石碑 この春、3年ぶりに帰省した。新型コロナウイルスを警戒して控えていたのだが、どうしても自分で処理しなくてはならない事情が生じたため、ほんの一泊の里帰り。やるべき任務はすぐに終わってしまったので、ふと上ノ郷城に…
中学生の頃から文章に触れていた映画評論家・山根貞男が2月20日に亡くなった。享年83。 最後の著書がまさに2月に出たばかりだったと知り、追悼の思いで読んでみた。『映画を追え フィルムコレクター歴訪の旅』(草思社)。いやぁ、これは『探偵! ナイトスク…
年末からかかりきりだった仕事が一段落し、昨年の半ばから積んであった深緑野分の新作『スタッフロール』をようやく読めた。 前半は1960年代から80年代を舞台に、ハリウッドの特殊造形スタッフとして活躍した女性が主人公。後半は2017年のロンドンを舞台に、…
昨今の出版界においては「映画の本は売れない」と囁かれているらしいが、それにしちゃヴィジュアル豊富な豪華本や映画人の自伝に評伝、マニアックな研究書が次から次へと書店に並ぶのはどうしてなんでしょうね。志高き出版人や編集者がまだまだ健在というこ…
年またぎの年末進行に追われる中、どうにかPARCO劇場の『幽霊はここにいる』を観ることができた。 安部公房の戯曲としては『友達』(1967)と並ぶ代表作であり、岸田演劇賞受賞作でもある『幽霊はここにいる』(1958)は、戦友の「幽霊」を連れ歩く男・深川…
2022年も残りひと月となりました。 秋に入って以来、あちこちから立て続けに訃報が届いているわけですが、個人的に大きかったのは、10月7日、私が所属する制作会社の創業社長にして現会長である倉内均監督が亡くなったことです。なにしろ会社に第一報が届い…
仕事がずいぶん忙しくなってきたので、新作映画もチェックできない日々が続いているが、今月はどうにか演劇を二本観ることができた。 ひとつは、シベリア少女鉄道の新作『アイ・アム・ア・ストーリー』(作・演出 土屋亮一)。 公演が終わっているのでネタバ…
小林正樹(1916〜1996) 前回のブログで「あなたはそのままでいい」という、『ブッタとシッタカブッタ』(小泉吉弘)あたりが発祥かと思われる主人公肯定型の映画やドラマが増えてるよねー、という話を書いたところだけど、ちょっと関連しなくもない評論を読ん…
WANDA/ワンダ(1970) いやー、『ちむどんどん』が最終回を迎えましたね。 羽原大介はどうかしてしまったのではないかと心配になる話の粗さではあったけど、テーマとしてはローカリズム称揚であり、方言も性格も容姿すら変わらないヒロイン・暢子とその家族…
Jean-Luc Godard(1930〜2022) 始まりはレンタルビデオで観た黒沢清監督の『ドレミファ娘の血は騒ぐ』だった。すでに『外国映画ベスト150』などの本で「ジャン=リュック・ゴダール」という人名は知っていたものの、「ゴダール的なるもの」との出会いは黒沢…