星虹堂通信

旧ブロマガ「スローリィ・スローステップの怠惰な冒険」の移転先です

2025-01-01から1年間の記事一覧

愛しすぎた女〜アンドリュー・ウィルソン『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』

2025年に年読んだ本から、印象に残ったものを一冊あげるとするならば、やっぱりこれ。アンドリュー・ウィルソン(訳・柿沼瑛子)『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』(2003)。出版は2024年12月だけど。 2年前に『パトリシア・ハイスミスに恋して』と…

糸がちぎれた首飾りは野外に散らばる〜劇団カナリ公演『友達』(作・安部公房)@玉川学園子ども広場

劇団カナリ公演『友達』(作・安部公房、演出・岡日出子)を観た。 場所は玉川学園3丁目子ども広場。なんとオープンステージである。これまでいろんな『友達』を観てきたが、野外劇というのは初めてだ。その上、料金は「無料」とのこと。これは確認に行かね…

仲代達矢と安部公房スタジオ

夏の終わりから取りかかっていた仕事の納品を終え、ほっとひと息ついているところへ入った、仲代達矢の訃報。来月13日で93歳になるところだった。 そのキャリアは70年以上、映画・演劇・テレビドラマにおいて、これだけ充実した作品歴を誇る役者はもう出ない…

『あんぱん』最終回を観て、やなせたかし『喜劇映画待望論』を読む

NHKの連続テレビ小説『あんぱん』が終わりましたね。 “何者”にもなれなかった妻が、夫と共に『アンパンマン』という子供(メガヒット作品)を育てました、という話にまとめたかったようだが、「やなせたかしの伝記」としても「芸術家の妻の物語」としても食…

「再現映像」はテレビ的? 映画的? 伊丹十三の世界

テレビ番組を作っている時に悩ませられるものに、「再現映像」がある。 出来事や情報を伝える上で、その情景をイメージしやすくするために撮る、雑誌における挿絵のような役割なのだが、挿絵にもいろんなタッチがあるように、再現映像にもやはりさまざまなタ…

今夜、すべてのバーで〜ロジャー・ウォーターズ『ディス・イズ・ノット・ア・ドリル:ライヴ・フロム・プラハ− ザ・ムービー』

いや、暑い日が続きますな。 ところでみなさん、参院選行きました? 自公の議席が過半数を下回り、国民民主党と参政党が大躍進という、意外性も何もない結果ではありましたが、この間、周囲の若い人たちとやりとりしてみると、どうも彼らは玉木雄一郎にしろ…

100年目を迎えたチャップリンの『黄金狂時代』〜サイレント版とトーキー版

抱えている仕事が大詰めで、連日作業場にこもりきりの囚人状態が続いている。 が、6月26日の夜はどうにか一時出所の機会を捻出、すべり込んだ先は、ヒューマントラストシネマ有楽町。チャールズ・チャップリン監督『黄金狂時代』(1925)のサイレント・4K修…

“若気の至り”の復活〜ピンク・フロイド・アット・ポンペイ

『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』のIMAX上映に行ってきた。 上映回数をかなり絞ったイベント上映ではあるが、ガラガラだったらどうしようかと思ったものの、さすがは新宿、9割近い席が埋まってかなりにぎやか。半数以上はオールドファンだが、若者や…

1974年に描かれた“草食系男子”の物語〜Not in service『緑色のストッキング』(作・安部公房)

板橋のサブテレニアンにて、Not in service公演『緑色のストッキング』(作・安部公房、演出・村岡正喜)を観てきた。 1月22日が安部の忌日(1993年)だから、三十三回忌の記念公演にあたる。しかも『緑色のストッキング』は1974年の初演以来、どこかで再演…